不動産屋が教える本当はつらい大家さんの悲しい現状の実話です。不動産投資の波に載せられてしまった大家さんたちの悲しい現状を綴っていきます。

本当はつらい不動産投資

ダメな不動産業者の話 欠陥建築物の話

不動産屋を過信してはいけない!建築のプロではないので欠陥建築は見抜けない!

投稿日:

Apartkitchin

不動産屋を信じていれば問題のない取引が行われると思っていませんか? しかし、不動産屋が仲介に入って取引をしたとしても問題が発生することもたくさんあります。

不動産屋は「不動産取引」のプロであって建築のプロではないため、建築のことは知らないことが多いのです。そのため、トラブルになることもあります。今回は、そんなトラブルの例について話をしたいと思います。

 

1.中古アパートの売買

以前、アパートの売買を担当したことがありました。そのアパートはとある大家さんから売却を頼まれたのですが、なかなか売れず1年半くらい売れ残っていました。

しかし、売り出してから2年くらいたってから別の不動産屋の人がお客さんを連れてきてくれて、多少の値段交渉はあってごちゃごちゃしながらもなんとか契約をまとめることが出来て、無事売買が成立し決済と物件の引き渡しも終了しました。

しかし、引き渡しが終了して1ヶ月位たってから、買主側の不動産屋さんから連絡がありました。

「ご無沙汰してます。先日決済が終わって売買が終わった物件ですけど、ちょっと困ったことになりまして、時間取れませんか?」

と、なにやら神妙なトーンで電話をかけてきました。

かなり嫌な雰囲気の話し方ですが、逃げていても仕方がないので、とりあえず話を聞くしか先に進む道はないので、時間をとって話をすることになりました。

 

2.改築の建築確認が取れない物件だった

買主側の不動産屋さんが時間をとってわざわざ会社まで訪ねて来てくれました。

「時間取ってもらってすいません。なんだか面倒なことになりそうで、、、」

と、大変さを隠すように笑ってくれているのですが、心の底から笑えてない顔をしていました。話を聞くと、どうやら先日売買した物件は増築や改築のときに建築確認が取れない物件だったそうです。

買主は、アパートを買ったあと一部を改築して事務所にして、残りの部屋を貸す予定でいたそうです。そこで、設計士に依頼して改築、増築の設計図を描いてもらうことになりました。そこの設計士の事務所は建築の仕事もしているので、改築にあたって事前に壁を壊して耐震の簡易調査のために壁の奥にある鉄骨を調べました。

すると、現状の法律では検査が通らない鉄骨で、改築、増築をする場合は耐震工事をしないといけないということになりました。

 

3.昭和56年以降の建築確認とは?

昭和56年に建築確認が変わったのですが、そのときに耐震基準も変わり不動産の売買のときには、昭和56年以前なのか昭和56年以降に建築確認が取られたのかというところを説明することになっています。昭和56年以降の建築確認であれば阪神大震災のときでも被害が少なかったということで、1つの基準となっています。

このアパートは昭和56年以降に建築確認を取得していたので、昭和56年以降の耐震基準を満たしているという説明を売買のときにしました。さらに、市役所の建築確認課へ行って建物の建築確認を取得した日の証明書をもらってきて添付しましたし、建物を建てるときに建築士が作って提出した建築確認の図面の控えもありました。

書類上では完全に昭和56年以降の新耐震基準だったのです。

しかし、現実は違って実際には鉄骨の強度が足りませんでした。

 

4.なぜ鉄骨の強度が足りなかったのか?

図面ではちゃんと新耐震基準に合わせた設計をしていますし、役所にもその耐震基準の図面で提出してあります。ではなぜ鉄骨の強度が足りなかったのか?

調べてみると、図面と違う工法で当時の建築会社が建物を建てていたことがわかりました。図面では新耐震基準に合わせた設計をしていて、鉄骨のつなぎ方を強いつなぎ方にしていましたが、当時の建築会社が図面通りに作らなくて従来の工法で鉄骨をつないでしまったのです。これは、簡単には直りませんし、新しい耐震基準に適合させるためには多額の費用がかかります。

当時の建築会社へクレームと補償を求めに行こうと思って調べましたが、すでに会社は倒産してしまっていて、当時の社長の自宅へ行ってももちろん会ってくれませんでした。

 

5.鉄骨の強度が足りないとどうなるのか?

昭和56年以前の建物で、現状も建っているものは「既存不適格建築物」と呼ばれ、現状の耐震基準には合っていない建物と認定されますが、当時の基準には適合していたので、現状ではダメだけどしょうがない、違法ではない建築物として扱われます。

しかし、当時の耐震基準にも合っていない建物は「違法建築物」になります。違法建築物ですので、役所に届け出が必要な工事であれば、違法な部分「耐震」を直さないと役所も工事を認めてくれません。

アパートを買った人としては、簡単な工事で増築、改築ができると思ったのに耐震工事が入るとなると工事金額が跳ね上がってきます。アパート購入のときにすでに改築費用と合わせてローンを組んでいるので、いまさら変更はできませんし、銀行が知ったら違法建築物に追加融資なんてもちろんしてくれません。

結局、八方ふさがりでした。

 

6.話し合いは裁判所へ

結局、話し合いは裁判所へ持ち越すことになり、調停が行われることになりました。しかし、売主である昔の大家さんも知らないことですし、もちろん壁のなかのことなので、誰もわからなかったことです。そして、大きいのが契約書に「瑕疵担保責任は負わない」と書かれていることです。もし、瑕疵が見つかっても売主は責任を負わないということなので、今回の件も隠していたことではないですし、負う必要がないという主張です。

買主は損害賠償を求めてきますが、応じる理由がないため断っていました。

結局、調停では決着がつかなかったのですが、買主が訴えてこなかったため裁判にはなりませんでした。

 

7.最終的には簡単な工事で済ませた

現状では違法建築ですが、役所も知らないので是正を求めてきたりしませんし、役所にある書類上は適法な建築物です。

結局、新しい買主は工事の規模を小さくして役所に建築確認を届けなくて良い工事に工事の規模を縮小しました。

 

8.不動産屋にはわからない

結局のところ隠れた瑕疵は不動産屋にはわかりません。今回のケースならどこの不動産会社でもわからないと思います。だって、真実は壁の中ですし、今回壁の中を開けたからたまたまわかったことですが、実際ならわからないままだったものです。

不動産を購入するときに不動産屋を過度に信用してはいけません。不動産屋は不動産の「取引」に関するプロですが、建築のプロではありません。建築に関するプロではないため建築の瑕疵などわからないことが多いのです。

取引のときに、わざわざ床下を覗いたり天井裏を覗いたりしません。そんなことをして、何か瑕疵を発見したら価格が下がるので売主に怒られます。そのため、現状の聞き取り調査だけでシロアリ被害があるか、雨漏りがあるかなどを確認して終わりです。そんな取引に売主の瑕疵担保責任は負わないと記載して取引をしているところが多いです。

不動産屋はプロですがわからないところも多いので気をつけましょう。

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