以前、とある管理していたビルに入居中の事務所の人から連絡がありました。
「ビルの地下駐車場にホームレスが住み着いて怖いんだけど、なんとかしてくれない?」
なんとかしてくれと言われたら、とりあえずなんとかしないと行けないのが不動産管理の仕事です。
一人だとちょっと心配だったので、後輩を連れて2人で目的のビルに向かいました。ビルに到着して地下駐車場に向かいます。
後輩と一緒だったので、強がってましたが、正直どんな人が出て来るかとドキドキしていました。
ビルの地下駐車場の奥の方へ行くと何やら異臭が、、、
異臭の漂うところへとりあえず向かっていきます。
だんだん臭いが強烈になるにつれて変な光景が見えてきました。
今までは倉庫のような感じでいらないものが集まっていた扉のない空間があったのですが、そこになにやら段ボールが貼ってあって仕切られています。
そして、段ボールをはがすと、、、、
いました!!
のんびり寝ています。
こちらには一切関心がないような感じで振り向きもしません。
一瞬死んでいるのかと思いましたが、声をかけるともぞもぞと動くので、どうやら生きているみたいで安心しました。
とりあえず声をかけます。
「すいませ~ん。ここは私有地なので出て行ってくれませんか~。」
、、、反応がありません。
しかも、こちらの方を見ようともしません。
完全に無視です。
なめられてます。
後輩の手前これはちょっとビシッと言わないといけないと思って、
「おい! 勝手に人のビルのなかで寝てるんじゃない! 出てけ!」
と、ちょっとがんばって言いました。
、
、、
、、、
またもや完全に無視です。
さすがにこれ以上言う気もなく、かといって力ずくで追い出そうとすると何されるかわかりません。何持っているかわかんないですからね。
しかも、異臭がすごいので正直触りたくなかったのです。
しかし、このまま放置して置く訳にはいきません。
こちらも仕事ですし、追い出さないと任務が完了しません。
ここは、国家権力に頼ろうと思って近くの交番に向かいました。
交番にいた若いお巡りさんに事情を説明すると嫌な顔を一切せずに来てくれました。
そして、ビルの中を案内して再度ホームレスと対決。
ここで、今までニコニコしながら一緒に話しをしていたお巡りさんの態度が一気に変わります。
「おまえこんなところで何やってんだ!! ここは人の敷地だぞ! 勝手に入ってくるんじゃない! 早く立て!!!」
さっきまでの人とはまったく違う人のような迫力です。
思わず、「かっけ~~!!」って心の中で思ってしまいました。
さすがのホームレスもすごい迫力で怒鳴りつけられたため、しぶしぶ立ち上がりました。
そして、お巡りさんに促されてのそのそと出口の方へ歩いていきます。そして、やっと外に出て行きました。しかも、ビルから出た後お巡りさんに、
「二度と勝手に入り込むんじゃないぞ!!」
と、怒られて去って行きました。
ありがとうございますお巡りさん。
今まで警察に守られたという実感を感じたことはなかったですが、初めて日本の平和を守ってくれていることに感謝しました。
まあ、自分の管理しているビルを守ってくれたという私的理由ですが。
困ったときには警察に相談してみるもんですね。
結局、後輩には残念な先輩の後ろ姿しか見せられなかったのですが。
そのあと、お巡りさんは先ほどのような笑顔になって「これでいいですか(^^)」と、笑顔で去って行きました。